L's Fashion

〈FABIO RUSCONI〉が美しく履きやすいのはなぜ?

2015/12/30
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Brand Interview

〈FABIO RUSCONI〉が美しく履きやすいのはなぜ?

 美しいシルエット、履き心地の良さ、最先端のトレンドをいち早く取り入れる鋭さ。イタリアはフィレンツェを拠点にする人気シューズブランド〈FABIO RUSCONI〉。デザイナーのファビオさんにシューズへのこだわりを伺った。

■シューズに興味を持ったきっかけは何でしょうか?

ファビオさん(以下F)「元々、父がシューズ工場をフィレンツェで経営していました。靴の中で生まれたようなもので、毎日父の工場に遊びに行っていました。革の匂いをいつも感じながら青春時代を過ごしたのですが、その頃のことは今も鮮明に覚えています。父が私が25歳の時亡くなったのですが、父からの影響をとても大きく受けています」

■常に靴が近くにある環境だとやはり小さな頃からシューズデザイナーが夢だったのでしょうか?

F「そんなことないよ。父は医者になってほしくて、凄く勉強しました。ただ、父が亡くなった時に、家業を継ごうと思ったのです。最初は20歳も年上の2人のパートナーとシューズビジネスを始めました。デザインから、ファブリックのこと、マーケティング、セールスなど全てを勉強していきました。当時、ずっと靴作りをクライアントから依頼されて作ってきたのですが、40歳を前に自分のためのデザインをやりたいと思って、1998年にブランドを立ち上げました」

■最初のデザインはどのようなものだったのでしょうか?

F「展示会をラスベガスでやったのですが、1種類の靴を24色で発表しました。ヒールがない奇抜な靴で、皆に変な靴と笑われたのですが、履いてくれた人は素晴らしいと言ってくれました。その靴はパリでマルタン・マルジェラのショーを見て衝撃を受けて作ったアイデアでした」

■ブランドの転機となったデザインはありますか?

F「2003年に【8001】というブーツを作ったのですが、これが世界中で大ヒットしました。薄いヒールで中にウェッジが入っていて凄く履きやすい。完璧すぎて今だに越えることができないデザインなんです」

■毎シーズン「こういう靴のデザインが欲しい」と思っているものが、ファビオに行くとあります。

F「それが私の目指すゴールです。そうするには皆が欲しいと思う6ヶ月前にデザインをスタートさせないといけない。そのためにマーケティングは最も重要視しています。大切なことは、自分が一番と思わず、常に謙虚な気持ちで人々の声に耳を傾けることだと思っています」

■女性の足を最も綺麗にみせる靴は何だと思いますか?

F「パンプスじゃないかな。特にポインテッドシューズにはこだわりがあって、カッティングやシェイプのバランスを研究を重ねていて。ブランドの強みとなっています」

■どのデザインも履きやすいのも魅力ですが、そこへのこだわりは?

F「履いた時のフィッティングをとても重要視しています。履きやすい靴を作るための3つのキーワードは、コンフォート、カジュアル、フラットだと思っているのですが、コンフォートの中でもフィッティングを大切にしていて凄く勉強しました。そのために女性の脚の形を研究するのですが、例えば15年前はヨーロッパと日本の女性に違いがあり、日本はO脚が多かったのですが、現在は近くなってきています」

■最後に、2016 S/Sのデザインはどのようなイメージでしょうか?

F「春の服のトレンドを完璧に頭の中に入れて、それにマッチするカラーコンビネーションを作りました。また、2016年の秋に向けて新たなスニーカーのプロジェクトを考えているので、楽しみにしてください」


 靴作りに対して、熱く語ってくれたファビオさん。情熱を持ってデザインをしていることが伝わってくる。

 東京で行われた2016 S/Sの展示会風景。こだわりのポインテッドトゥのパンプスやフラットシューズなどファッショントレンドを研究した、独特の綺麗な色使いでラインナップ。