SPECIAL COLLABORATION
with
GLIM SPANKYとの
スペシャルコラボが実現
今年の春に8枚目のアルバム『Éclore』をリリースしたGLIM SPANKY。本作を引っ提げ、全国16都市で行ったワンマンツアーも大好評のうちに幕を閉じた。今回のアルバムでは、新たな試みの先で得た、バンドとしての音の幅と厚み、そしてふたりのさらなる進化への渇望を垣間見ることができる。そんななか実現したNANO universeとの協業は、ふたりに一定の刺激と高揚をもたらしたようだ。言葉のひとつひとつに耳を傾けながら、その行間に佇む想いを拾い上げていく。
Look


Interview
バンドの中で何かが産まれた8枚目のNEWアルバム
バンドとして初めてビルボードライブのステージに立ったのは今年の5月29日のこと。もうあれから半年が過ぎ去ろうとしている。ただ、ふたりの口からついて出る言葉には、まるで昨日のことのような熱をはらむ。口火を切るのは、過去にゲスト出演の経験をもつ松尾レミさんだ。
「music from NANO universeの企画でビルボードライブのステージにバンドとして初めて立てたのはうれしいですし、やっぱりファンもビルボードで見たかったという方がかなり多かったです。全部含め、相乗効果としていいコラボレーションができて良かったですし、いまだにあの日は楽しかったな〜と思い出しますね」。
一方、ビルボードライブのステージに初めて降り立った亀本寛貴さんは、ライブとの違いに戸惑いながらも、程よい緊張感のもと存分に満喫した様子だ。
「難しいだろうとは思っていました。普段のライブでのオーディエンスとの距離感とは明らかに違いますし、サウンド面でもあらゆる音が客席へダイレクトに届いてしまう。それに、あの距離になってくるとどこを見ていいか分からない(笑)。とはいえ、いい経験になったことはたしかです。素晴らしい会場ですから個人的には楽しめましたね」。
セットリストの中には、『大天使』や『春色ベイビーブルー』などNEWアルバムからもいくつか披露された。そのアルバムでは新たな試みを随所に潜ませ、バンドとしての変化やひと皮剥けた姿を表現。発売から半年以上が経った今、自分たちの中でも何らかの変化は芽生えたのだろうか。その問いに松尾さんは、ツアーでの出来事を挙げる。
「もともと私はギターを弾いて歌うことを重視しているところがあります。でも、今回は歌に集中しようというアルバムでしたし、歌特化のツアーにしようと決めていたので大半は持ちませんでした。ほとんどの曲を歌で勝負するのがすごく新鮮で、より歌が好きになりましたね。音楽が楽しいと思って歌うと、これが不思議なもので全然喉が枯れないんですよ。それに、今回は届く言葉や歌い方を今まで以上にすごく意識したのですが、やっぱり届き方が変わってくる。進化の余地を考えると、感覚として今は孵化をしている途中という感じですね」。
その点に関しては亀本さんも同様で、アルバムをリリースして以降、「曲がより届いたという感覚がとてもあった」と言葉に力を込める。
「要するにそれって、自分たちの曲の価値が上がっているということなんだと思うんですよ。ここ最近、それをすごい実感として感じることができている。このアルバムがひとつのきっかけになった気はしていますね」。
10年以上のキャリアを振り返って感じるターニングポイント
そんなGLIM SPANKYはメジャーデビューから今年で12年目を数える。ただ、駆け抜けてきた月日に関して、“数字はあくまで記号”と言わんばかりにふたりとも意を介さない。だからこそ気になる、バンドとしてのターニングポイント。そこで亀本さんはあるタイミングに触れる。
「個人的に振り返ると、コロナ禍での意識の変化はやっぱりありました。ちょうど30代に入ったタイミング。時間が有限であることを実感しましたし、そこから音楽への向き合い方は大きく変わった気がします」。
隣で頷きながら、「自分を、GLIM SPANKYを成長させるきっかけにもなりました」と松尾さんも同調。さらに、より音へのこだわりが強くなったと明かす。
「コロナ禍になって初めて宅録音源を出したんです。それが『こんな夜更けは』という曲なんですけど、そこからGLIMの新しいテイストというか、バンドで録るだけじゃない武器が生まれた。それに、配信ライブも始めましたが、リアルで見られるわけじゃないのにチケットが売れていくわけですよ。そもそも画面でライブを見ること自体、生のライブとは雲泥の差。そうなると、より音のクオリティが高くないとダメじゃないですか。転がし(モニタースピーカー)に美学を持ってやってきたんですけど、初めてイヤモニを導入したらライブの歌の質をよりシビアに自分で分かるようになって。そこからライブや楽曲制作もそうですけど細かい作り込みに意識を向けるようになりましたね」。
ことあるごとにライブの重要性を口にするところから、GLIM SPANKYにとってどれほどの存在かはよく分かる。すでにスケジュールが年明けまでびっしり埋まるなか、その中には「NICE TO MEET YOU tour 2026」という興味深いライブも。過去に対バンツアーは幾度としてきたふたりだが、今回は若手アーティストたちとステージに立つ。経緯について亀本さんは期待を込めて説明する。
「ありがたいことに、先輩アーティストと絡む機会が多い反面、若いアーティストと絡める機会はそんなにありませんでした。僕はそういう子らからも学べることはめちゃくちゃあると思っていて。で、センスあるな、カッコいいなと思ったアーティストに声を掛けました。今からすごい楽しみですね」。
あらゆる要素が絡んでカルチャーやロックは育っていく
そして、GLIM SPANKYといえば各種メディアやライブで目にするファッションも魅力のひとつ。今回の撮影からも、彼らのファッションへの想いはヒシヒシと伝わってきた。松尾さんの軽快な言葉からは、ビルボードライブからの流れに対する満足感が垣間見える。
「あのライブからそれにちなんだものがグッズ化され今回の撮影に至りますが、この流れがめっちゃ素敵で、ひとつのカルチャーを作っている感覚がありました。ファッションや音楽などが絡み合うことで、初めてカルチャーに深さが出ますよね。それを見せられるプロジェクトに関われたことは光栄ですし、GLIM SPANKYもそこは大事にしているので。私は古着が好きなんですけど、こういう時代のこういう音楽が好きだからその時代の服を着るとかよくあります。古着を着るとタイムトラベル的な感覚になれるというか、その時代の空気を纏える。それに自分のアイデンティティと合う服を自分なりに着こなすことで、ただただ古い服を着るだけじゃなく、ちゃんと現代の表現として仕上げることはすごく大事だと思うので」。
野宮真貴さんやパティ・ボイドらに感化され、古着を愛し、ライブ衣装をデザインすることもある松尾さんならではの見解。片や亀本さんは「あんまりこだわりはないんですけど」と前置きしつつ、独自の感覚を披露する。
「めちゃくちゃおめかしをしました、みたいに見えたくないとは普段から思っていて。最近ハマっているのはアメリカの田舎のお父さんみたいな格好。今、ネットフリックスの海外ドラマで『ランドマン』という油田で働く男たちの作品があって、みんな普通にデニムを穿き、チェックシャツを着て、メッシュのキャップをかぶり、ビールを飲んで野球を見ている。そういうファッションに魅力を感じています」。
今回は協業で、ロンTとスウェットとバッグを製作。そこにも独自のこだわりと仕上がりの満足感が滲む。
「服のプロと協業することで、自分たちが作れないクオリティの洋服を作れるのがすごい嬉しくて。バッグも、サコッシュとかポーチとかいろいろアイデアをいただいたんですけど、ガサッと入れられる大きいバッグは自分でも欲しいですし、グッズでもあんまり作ってこなかったのでそれをお願いしました」。
「僕らのテイストを踏まえてご提案いただいのがすごく伝わってきましたし、とても満足のいくアイテムを作れました」と亀本さんも納得の表情だ。出来上がったアイテムを見ながら、松尾さんもこれまで抱いていた想いが確信に変わった様子。
「時代もそうだし、ファッションも映画も文学も、いろんな世界の情勢も全部含めて様々な要素が絡み合い、カルチャーだったりロックというものは育っていく。そういうところで、今回表現できたのはうれしいですし、そういうことをGLIM SPANKYでも大切にしていきたいですね」。
最後に今後の展望を尋ねると、「まだまだ満足していない」と松尾さん。「今回のアルバムを通して新しい表現をすることが楽しかったので、クオリティを上げてより深く、広く届くものを作り上げていきたい」と気持ちを新たにする。そして亀本さんは、「自分たちの持っているオリジナリティや雰囲気みたいなものを、より音楽で押し広げていくことにより多くの人に届くものになると信じています」と決意を口にする。その目線の高さがGLIM SPANKYを支え、さらに我々を惹きつけるのだろう。エクロールし続ける彼らの今後にますます注目だ。











