「10 Corso Como」の美しき魔法

「10 Corso Como」の美しき魔法

　どこかアートで知的な空気感と、ゆったりと流れる心地よい時間。モードの街ミラノを代表するセレクトショップ「ディエチ・コルソコモ」を訪れたことがある方は、そんな魔法のような力を少なくとも感じるはず。

「ELLE、VOGUEで長い間エディターをやっていたカーラ・ソッツァーニが'90年にオープンさせました。ファション、アート、ギャラリー、本屋、音楽、カフェ&レストランといった幅広いジャンルです。ホテルも3部屋ですが作りました。各ジャンル、これらはマーケティングによるものではなく、必要と思った時に1つ１つ丁寧に作ってきた結果。ロゴやアイコンのドットマークなどはアメリカのアーティスト、クリス・ラッシュに作ってもらいましたが、彼をはじめスタイリスト、フォトグラファー、ファッションデザイナーなど様々な才能のあるクリエイターと共に歩んできました。この世界観を創り上げた背景には彼らの存在が大きいです」とプレスのステファニアさん。

　ここでしか手に入らないデザインなども多く、ぶれない美しいセレクト眼が世界中のファッションラバーに人気なのはもちろんだが、アートとの共存も大きな魅力となっている。現在も毎週、世界中の才能溢れるアーティストの展示を行っている。11月には日本の写真家、森山大道氏の写真展も。

「私たちは小さなショップです。なので、常に新しい才能と一緒に、様々なアプローチで作品を紹介していかなければなりません。それが私たちのヨーロッパの中での存在価値だと思います」

　魔法のようなアートな空気感が流れる理由は、ずっと変わらない、この熱い想いにあるよう。「待っているだけじゃ、だめなのですよ。とにかく前に向かって歩かないと」。時代を超えて愛されるもの、というのはこういう想いから生まれるのかもしれない。

様々なアーティストと共に作り上げてきた空間。一つ一つのオブジェから奥深さが伝わる。

近年ミラノの中でも開発が進んだコルソコモ通り。その理由の一つは、このショップが存在するから。