来季のナノ・ユニバースを
メンズディレクター、戸賀敬城が語る

2017年5月。元メンズクラブ編集長の戸賀敬城氏が、ナノ・ユニバースのメンズディレクターに就任。
2017年秋冬より本格的に始動する。
数々の情報媒体で編集長を歴任し、メンズファッションの今を独自の視点で切り取ってきた同氏。
シーンの最前線で活躍してきた重要人物が思い描くナノ・ユニバースの進化とは。今秋冬の注目アイテムや今後の展望なども踏まえ、気になるあれこれを聞いた。

「人との繋がり、縁というのは
つくづく面白いですよね」

—まずは、ナノ・ユニバースとの
これまでの関わりについて伺えますでしょうか。

本格的にナノ・ユニバースさんとタッグを組んでお仕事をさせてもらったのは『 トガバコ。』でしょうか。当時プレスだった田中さん(現ナノ・ユニバース部長)から、「一緒に何か企画をできないでしょうか」とのオファーをいただきました。
通常であればやはりビジネスですから、自分の考えをあえて抑えながら協調すべきところは強調し、双方ともに足並みをそろえていくのが普通。ただ、ナノ・ユニバースさんはいい意味でニュートラルというか、柔軟性のあるセレクトショップという認識を以前から持っていたので、面白いことができそうという期待を抱きながら打ち合わせへ出向いたのを覚えています。
そして、『 トガバコ。』に始まり、『ナノ・ユニバース クアトロオット』『ナノ・ユニバース クアトロノーヴェ』といったブランドの立ち上げを経て今に繋がっているわけです。当時を思えば、メンズディレクターという形でお仕事をさせて頂く今のこの状況など想定すらできませんよね。
まさに晴天の霹靂というか、つくづく人の縁というのは面白いなと感じます。

—当時の心境についてもう少しお聞かせください。

自分の要望を反映させたアイテムを売るというのは、正直初めてでした。
自信はありましたが、同時に不安もあったことは否めません。が、博多でのイベントで販売したTシャツはおかげさまで完売しました。
やっぱり自分の考えは間違っていなかったんだと認識することができましたし、素直に嬉しかったですね。
その後、サッカー解説者の前園真聖さんがあるテレビ番組で着てくれたことを、メッセンジャーで繋がっている多くの方からのメッセージを通して知りました。
前園さんが着てくれたのはもちろん嬉しいのですが、アイテムを買ってくれた、もしくは見てくれた方々の反応に感動しましたね。

—その喜びは、編集者としての喜びとは
また違ったものでしょうか。

どちらかというと似ているかもしれません。
ただ、長蛇の列がレジ前にできた時の光景はいまだに忘れられませんね。
イベント後の打ち上げで、田中さんからその日の売り上げデータの発表がありまして、とてもいい数字だった。それで一気にみんなテンションが上がり、夜中の3時ぐらいまで飲んじゃいました(笑)。

「40代、50代の大人たちが
愛でる服を作りたい」

—今回、メンズディレクターに就任しました。
以前とこれからとでは、何かしら意識に変化はある
ものでしょうか。

そうですね〜…。これまでは、『メンズクラブ』の読者と、47歳、48歳、49歳になった時の僕との間で、どこを着地点にしていくかを模索していくというアプローチでした。ただ、これからは私の年齢に近い人、ライフスタイルに共感してくれる人たちに愛される服を作りたいと思っています。
50歳前後の方々で、社会的ポジションが高く、お金もほどほどに持っていらっしゃる方。そういった方々が気にせず手に取れる服、実はそこまで多くない気がします。
端的に言えば、分かりやすい王道か日常とは懸け離れた個性派というわりと限定的な選択肢。
どちらも否定するつもりはありませんが、俯瞰的に見るとその中間にある服が極端に少ないんですね。
だから、ナノ・ユニバースのポテンシャルを持って、世代に見合ったラグジュアリーさがありながら、いい意味で自由なアイテムを届けていきたいと考えています。
あらゆる難を隠しながら全体を綺麗に見せるという、これまでにやってきたコンセプトを底上げするイメージでしょうか。
特別なテクニックを駆使するまでもなく美しく見えて、肩書きにそぐう服。それでいて楽で、ちょっぴり自由なモノ作りにトライしていきたいですね。

—それらを踏まえ、2017年秋冬コレクションの
見どころなどを教えてもらえますでしょうか。

やはり、新しく主張の強いモノは手に取りづらい世代でもあるので、カラーは馴染みのあるチャコールやネイビー、ブラックが軸。個人的には、ベージュやホワイトあたりで冬場も攻めていいとは思っています。
どなたも袖を通せて、かつさりげなくオヤジの色気みたいなものが出せるようなアイテムが多いですね。
このナノ・ユニバースのジャケットは、百難隠してくれて美しくも見せてくれる。
グランド ハイアット 東京内にある「フィオレンティーナ」や「フレンチチキッチン」は、Tシャツでいくと「お客様」と呼び止められるほどドレスコードやマナーに厳しい場所。ただ、こんなアイテムを一枚羽織っているだけでいつでも胸を張れます。
私のような車好きの人にもうってつけ。袖を通すだけで様になり、着用したまま車に乗っても運転の足枷にならずシワもつかない。車から降りて、いちいち気にしていたら格好良いとは言えませんからね。
秋冬のコレクションでは特におすすめで、全色買おうと思ったぐらいです(笑)。

—ほかのアイテムについてはいかがでしょう。

モックネックのアイテムもオールマイティに使えて便利ではないでしょうか。
活用のレンジが広いので頼もしく感じられるはずです。スーツのインナーとして、ハイネックやタートルネックでは時として古くさく見える場合もあります。ただ、モックネックであれば、モード感2割増しといった感じで着られますよ(笑)。

「洋服だけにとどまらず、
全方位的にフォローできるのが理想」

—今後に向けた動きについて、語れる範囲でお聞かせください。

8割型は洋服中心で展開していくと思いますが、できれば、洋服だけでなく360度から攻めたいんです。
例えば、ビジネスの場で一目置かれ、女子とのコミュニケーションツールにもなるカバン。
30年ぐらい前に見たアメリカの映画で、目標を達成した部下に上司がカバンをプレゼントしていました。「カバンを床に置くのはありえない」というイタリア人のビジネスマンもいます。
ワールドスタンダードとして、いっぱしの年齢になったらいいカバンを持ち、自身の生き写しのため大切に扱うという認識なんですね。
だから、カバンを筆頭に、腕時計、コスメ、フレグランスなど、残りの2割の部分を今後はより充実させていけたらと考えています。
現在進行中の企画もありますし、もしかすると春先に驚くようなニュースをお届けできるかもしれませんね。

Profile

戸賀敬城

1967年、東京生まれ。2002年、創刊から携わってきたMen’s Ex、Begin、メルセデスマガジンと、数多くの雑誌で編集長を歴任。2006年にはUOMOのエディトリアル・ディレクター、2007年にはメンズクラブの編集長となり辣腕を振るう。その傍ら、『結果を出す男はなぜ「服」にこだわるのか?』『結果を出す男は「飲み会」で何をしているのか?』などの書籍を執筆。ブランドのディレクションやイベントのトークショーなど幅広く活動し、2017年、ナノ・ユニバースのメンズディレクターに就任。

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