
様々なシーンで活躍するスタイリストと
モデルを月替りでお呼びし、
テーマに沿ってナノ・ユニバースのアイテムで
スタイリング提案をしてもらう
3ヶ月連続連載スペシャル
コラボレーション企画、第2弾。
今回は、数々のファッションメディア、
広告などで活躍するだけでなく、
コンサルティングやジュエリーの
ディレクションも手がける一ツ山佳子さん。
自然と目で追ってしまう、惹きつけられてしまう。
そんな男性が持ち合わせるそこはかとない品や色気を
着こなしで表現するなら?
女性目線からそのポイントをご教示いただきました。




ブラウンのひと挿しで
叶える
上品にしてリッチな趣
コート、スラックス、ニット。それだけでも大人っぽく仕上がりますが、ベージュの淡いトーンでまとめることによりいっそう品よく映ります。同色一辺倒で眠たくならないよう濃いめのブラウンニットをサラッと肩掛けすればほんのりリッチ。ゆるいボトムスを使うことで余裕も匂わせました。


アイテムに漂う
スポーティーさは
緊張と緩和でかわす
今年は男女共に黒がキー。こちらでは、ベースがカジュアルセットアップですがメルトンコートを羽織ることで第一印象はエレガントに見えます。そこへあえてハイネックで白を効かせ、黒が醸すモード的緊張の緩和を試みました。そのバランスこそスポカジを日常に呼び込むキモですね。


品も色気も醸せる
抜群の好配色を
味方につければ無敵
これまでは重ね着中心でしたがこちらはワン・ツーコーデで。そのワケはブラウンとブルーのコンビにあります。この2色がまた実に相性がよく、凛々しさに加えブラウンの重厚さもいなしてくれる。パンツは抜け感が感じられるゆとりのあるものをチョイス。適所で余裕をのぞかせました。



ひとえに品や色気といえどその捉え方は人それぞれ。
では、若い頃にスケボーと戯れてきたストリートあがりの人気モデル、AMURUさん、
あらゆるメディアや音楽シーンなどで辣腕を振るうスタイリスト、
一ツ山佳子さんはどう考えているのか。
立場の違い、男女の違いから展開されるクロストークは見応え十分です。

― 一ツ山さんは色気について昔と今とでは定義付けは変わってきましたか?
一ツ山佳子(以下、一ツ山): 変わったと思いますね。きっと多くの人はいい意味での性的な色気をイメージされるかもしれません。男性でいえばいい香りをさせたり胸元を開けてみたり、女性でいえば露出を増やしたりボディコンシャスな服を着てみたり。正直なところ、以前の私であればさほどそこに興味はもてませんでしたが、今は多くの素敵な女性を目にし、色気のある方というのは品格を備えた方なのではという思いを抱いています。
AMURU: それ、なんだか分かる気がします。男性でも同じようなことは言えると思いますね。

一ツ山: たとえ着ているアイテムがデニムのセットアップだとしても「なんかこの人、色っぽいな」と思う女性はやっぱり品がある。昔だったら「色っぽいね」と言われるのにやや抵抗がありましたけど、今は最高級の褒め言葉だと思います。
AMURU: 男だと、いい感じの歳の取り方をしているなって感じですかね。
一ツ山: そう思いますね。
AMURU: それって、やっぱり見せようと頑張ってもなかなか難しい部分ですよね。胸元から肌を見せてみたり、いい時計をしてみたり、くるぶしが見えるパンツを履いてみたり。セクシーさをアピールしたいんだなっていうのは伝わるんですけどね…。
― 頑張ってる感が出てしまうと難しい部分はありますね。
一ツ山: 女性目線で言わせてもらえれば、逆に頑張りすぎない方がおしゃれに見えるんですよ。一種の余裕というんでしょうか。意外とその余裕って、若い子にはハードルが高いかもしれませんよね。ある程度年齢を経ないと、それがなんなのか分からないですし、その良さすらも分からない。

AMURU: 若い人ならではの勢いではどうにもならない部分ですよね。実は、僕が感じる色気ってどこか重厚感を纏っているイメージでした。クラシックスーツをバシッと着こなした隙のない大人。色気の定義は人それぞれかもしれないですけど、一ツ山さんの話を聞いて、自分が考える色気の幅が広がったように思います。

― 着こなしでそれらを暗に伝えて行くにはどうすればいいでしょう。
一ツ山: やはり綺麗なコートは使えると思います。今回使用したアイテムもそう。すごく品が良くて素敵なのでそれをどういうふうに自分なりにアレンジするかを考えるだけでいい。コートを羽織ることによって全部がまとまってくれますし、格が上がるというかアップデイトできるというか。意外と色気を手にするうえでは近道なのかもしれませんね。
AMURU: 僕はベージュトーンの着こなしがすごく素敵で、自分でも試してみたいと思いました。僕のデイリーウェアは、もともとスケボーをやっていた背景もあってどちらかというと太いパンツやでかいトップスが多め。冬はそのうえからダウンジャケットを羽織るイメージです。ロングコートなんて縁がなかったですけど、去年、初めて買いました。

― それはどんな心境の変化が?
AMURU: 何ていうんだろう、場所によって着たい服ってあるじゃないですか。友達と居酒屋に行くのにそもそもロングコートなんていらない。でも、クリスマス、例えば女性とどこかに行くって時にバシッてキメることができたら女性に対しても失礼じゃないですよね。
一ツ山: その感覚って大切だと思います。あとは、先ほども言ったような余裕をどこで見せていけるかではないでしょうか。
― 今回のスタイリングでいうと?
一ツ山: 最初のスタイリングではスウェットパンツですね。品のあるショートコートだったりローファーだったり、確かに取り入れたアイテムは“真面目”なんですけど、それらをすべてとっぱらったら普通にスウェットのセットアップなんです。最初の印象で知的さや清潔感を香らせはしますが、でも真面目過ぎない感じが大切です。2体目も同様の脈絡。パンツの風情はスラックスなのにセンタークリースをあえて入れていませんし、シルエットもユルめ。ですから、全体的にはエレガントなんですけど気張りや気取りは感じさせません。
AMURU: 僕はこの2ポーズめが一番好きでした。普段とはアイテムも着こなしも違いますけど、とにかく大人っぽい。周りの印象も絶対にいいはずなので着ている僕もテンションが上がりますね。もう確信に近いじゃないですか。「オレ、今イケてる」って(笑)。
― 素敵でした(笑)。3ポーズ目はいかがでしょう。
一ツ山: 別にキャップを被っても全然おかしくないですし、逆にきちんと合わせてもおかしくない。オールブラックも悪くはないんですけど、あえて真っ黒にしないで1個だけ白を挿す。その抜け感が黒の緊張を緩和してくれますよね。4ポーズめもそうです。クラシカルなブラウンで威厳を湛えつつ、清々しいブルーで今の空気感とも息を合わせられる。
AMURU: どちらもコートのシルエットがすごく綺麗なんですよね。
一ツ山: 後ろ姿も綺麗ですよね。背中で語れるというか。すごいバックショットのシーンがめちゃくちゃよかったんです。
― 語りたいですね〜、背中で(笑)。
一ツ山: これがセットアップスーツのようにすると、またそれもイメージが変わってきてしまうというか、重厚過ぎるというか。きちっとしたい時はいいと思うんですけど、色気を余裕として捉えるならば少し外してみようかなっていうスタイリングがいいと思います。パーフェクトにしない。そこになにか風が吹くと思うんです。
AMURU: たしかに、どれも心地いい風が吹いてました!

“ナノ”さんのコレクションにはベーシックなアイテムが多いですよね。そこで、今季の主流となりうるトーナルカラーを軸に、トーンに微妙な差をつけグラデーション調に仕上げました。スウェットとウールといったテクスチャー感の違いもまた、淡白に見せないための妙手となります。