スタイリスト小林新さんと探る、
<LB.02 ビブリオグラフィー>の妙味。

6つのレーベルから構成される“マルチレーベルストア”として、2022年春夏よりリブランディングに着手した新生ナノ・ユニバース。そのレーベルの<LB.02 ビブリオグラフィー>は、ヴィンテージウェアを現代的な解釈でオマージュしたカジュアルライン。単に古着を再解釈するのではなく、抜き差しのバランスを整え、生産背景にもこだわった緻密なものづくりが魅力のラインだ。「デザインの足し算、引き算が巧みで、実際に欲しいと思った」。そう語るのは、スタイリストの小林 新さん。クリエイティブディレクターを務める中田浩史がガイド役となり、同レーベルの魅力を二人に紐解いてもらった。

ヴィンテージ好きも、そうじゃない人にも。

ヘンプデニムジャケット ¥36,300(tax-in)

2024年に迎える25周年という節目に向けて、新たなスタートを切った新生ナノ・ユニバース。<LB.02 ビブリオグラフィー>は、ヴィンテージウェアからインスピレーションを得て生まれたコレクション。単なるカジュアルラインというわけではなく、きちんとものづくりにこだわり、大人が安心して着られるアイテムが揃っている。

「従来のナノ・ユニバースはトレンド志向が高く、どこか若いイメージがありました。もちろんトレンドは大事ですが、服屋としてものづくりに対するプライドをしっかりと持ち、お客さまをリードする存在になるべく、<LB.02 ビブリオグラフィー>は6つのレーベルの中でも、カジュアルウェアのトップレーベルという位置づけです。具体的には、ヴィンテージのワークやミリタリーウェアを現代的にアップデートしたものづくりをしていますね。そして、日本製にこだわったのもポイントです」

そう語るのは、今回のリブランディングを指揮するクリエイティブディレクターの中田浩史。メゾンブランドを経て、さまざまなデザイナーたちとコミュニケーションを取りながら、キャリアを積み上げてきた。

「ヴィンテージと言っても、どこかの年代に固執することもなく、自分たちが良いと思ったアイテムをピックアップしています。ファーストコレクションはユーロヴィンテージから着想を得てつくられたアイテムが比較的多い。それがいまの自分たちのムードに合っているな、と」

出来上がったアイテムを手に取り、「すごく好感が持てるアイテムですね」と語るのは、スタイリストの小林 新さん。ヴィンテージウェアに対する造詣が深く、雑誌はもちろん、ファッションブランドのシーズンビジュアル、広告や俳優のスタイリングも手がけるなど、さまざまなフィールドで活躍している。

「ミリタリーやワーク、スポーツウェアは、機能を前提につくられていますよね。それが機能美に繋がるわけですが、手にとって実際に着てみると『なるほど』と思うことがよくあります。ボタンの付け方や、ポケットの位置、パターンの引き方など、『このためにこうなっているんだ』という発見が。でも、それはあくまで特定の用途のためにつくられた服だから、デザインはすごく良いのに、生地が重たかったりしてファッションとして着づらいものも多いんです。それを現代的に置き換えて、デザインの取捨選択をしながら良い生地を使って、なおかつ日本の美しいしつらえでものづくりをしているところに<LB.02 ビブリオグラフィー>の魅力があると思います。特に最近はヨーロッパものの古着はすごく人気があるし、さすが目の付け所がいいですね」。

小林さんの“良い生地を使って、なおかつ日本の美しいしつらえでものづくりをしている”という言葉にあるように、単なる古着のオマージュではなく、服好きも納得する仕上がりこそ<LB.02 ビブリオグラフィー>が大事にしているレーベルの礎でもある。中田曰く、「セレクトショップのオリジナルアイテムではなく、きちんとしたブランドの服をつくることを意識した」とのこと。

ロングスリーブクリンクルシャツ ¥19,800(tax-in)

「すべて日本の生地を使い、日本の工場で生産しています。国産の生地はゆっくりと丁寧に織り上げた上質なものが多いですし、そうして出来上がった生地を、今度は縫製工場としっかりと向き合いながらものづくりをおこなう。そうやって工程を踏みながら、納得のいく服をつくっているんです」

実際にアイテムを手に取り、細かなところを見ながら「たしかに、良いですね」と小林さん。

「何年も服を見る仕事をしてきていますが、まず生地が良いですよね。それにステッチの細かさや綺麗さ、ものづくりの良さが伝わってきます。デザインの塩梅もバランスがすごく良い。ヴィンテージって全身で着るとコスプレみたいになっちゃうけど、こういう服ならいまっぽく着られるし、それでいて愛好家たちが納得のいくディテールが残されているんです。つまり、ヴィンテージ好きにも刺さるし、そうじゃない人も手に取りたくなるようなデザインになっているということ。きちんと知識を持った人がつくっているんだな、というのが分かりますよね」

いろんな人のワードローブにフィットする、名脇役になれる服。

そんな小林さんのコメントに対して、「そうしたデザインのバランスが伝わってうれしい」と中田が続けて語る。

「たとえばワークウェアのディテールは、作業をするために与えられたものですよね。それを街着として解釈したときに、余計なものは引き算して削ぎ落としています。もちろん引き算をし過ぎてしまって、ワークウェアとしての旨味が消えてしまったら意味がない。そうならないように気をつけながら、丁寧に計算しました。あと、Gジャンは足し算も引き算もせず、背中を大きく取ったり、アームホールを太くしたりと、パターンを現代的に再解釈してデザインしました。そういった点に気付いていただけたのは本当にうれしいですね」

ガーメントダイジャンプスーツ ノースリーブ ¥39,600(tax-in)
ヘンプデニムカバーオールジャケット ¥39,600(tax-in)

今回のコレクションの中で自身が気になるアイテムについて小林さんに尋ねたところ、「これが欲しい」とひとつのパンツを手に取った。60年代のチェコ軍のモーターサイクルパンツがベースになった一本だ。

小林さん着用アイテム
ヘンプデニムジャケット ¥36,300(tax-in)
ヘンプダブルニーモーターサイクルパンツ ¥39,600(tax-in)

「先ほど話したように、この元ネタとなったパンツは生地が重い上に硬くて穿けないんです。だけどめちゃくちゃ形がかっこよくて。<LB.02 ビブリオグラフィー>のこのパンツは、生地を変えることによってウィークポイントを克服した一本だと思います。それに、穿き込んだ先にどのような経年変化が起こるのかも気になります。セットアップで着るのも良いですよね」

一方で女性のスタイリングも手がける小林さんに、ウィメンズのアイテムに関しても言及してもらった。

「このジャンプスーツを見て、きちんと女性の意識を考えてデザインされているなと思いました。というのも、ウェストの部分が調節できるようになっていて、こういうところって男性がつくると削ってしまいがちなんですよ。だけど、女性はスタイルを気にしていて、こういうアジャスターを絞ったり緩めたりしながら自分の体型に合うシルエットに調整している。そういう細かなところにも気を配ってデザインされているところが、すごく良いですね」

ガーメントダイジャンプスーツ ノースリーブ ¥39,600(tax-in)

こうしたヴィンテージからインスパイアされたウェアの数々を上手に着こなすには、どういったことを意識すればいいのか、スタイリングのアイデアについても聞いてみた。

「もちろん、このレーベルのアイテムだけでスタイリングを組めば、完成度の高いコーディネートができあがります。でも、いろんな人のワードローブにフィットする汎用性の高いものづくりがなされているので、ハイブランドのアイテムに合わせたり、それこそ古着とミックスしたりもしやすいと思います。誤解を恐れずに言うならば、名脇役になれる服なのかなと。それに、良い意味でトレンドを意識したものづくりがされていないので、流行り廃り関係なく長く着られるというのも良いですよね」

そうした言葉に加えて、「とにかく袖を通してみて欲しい」と小林さんは続ける。

「着たときに、肌感覚で『これ、良いな』というのが分かる服なんですよ。とにかくシルエットが綺麗に出るから。いまはネットの時代だから、実店舗で買うことが減っているかもしれないけど、できることなら店頭へ足を運んで実際に着ることで、その魅力をより実感できると思いますね」

最後に、「LB.02 ビブリオグラフィー」の今後の展望について中田に尋ねると、こんな答えが返ってきた。

「長年愛してもらえるブランドにしたいというのがまずひとつ。男性も女性も一緒になって楽しんでもらいたいです。そしてもうひとつは、この服がいずれヴィンテージになっていけばいいなと思っています。織りネームもミニタリーラペルのようなイメージを添えているんですが、着られなくなったら廃棄するのではなく、人から人へと渡っていく服をこれからもつくっていきたいですね」