新ブランド
「Commonuse(コモンユース)」、始動

今季、ナノ・ユニバースが新たなプロジェクトをスタートする。中心を担うのは、モードからストリートまで、あらゆる実力派ドメスティックブランドでデザイナーとしてのキャリアを積んできた榎本光希。「ひとつの挑戦」と語る彼の声から、日常に寄り添いながらもソフィスティケイトされたコレクションの中枢に迫る。

  • デザイナー
  • 榎本光希

2006年に「アタッチメント」に入社し6年間経験を積んだ後、12年から「アンダーカバー」、13年から「ユリウス」を経て、19年にアタッチメントに復帰。アシスタントデザイナーを務めながら、自身のブランド「ヴェイン」も手掛ける。22-23年秋冬シーズンから「アタッチメント」デザイナーに就任。23年春夏よりナノ・ユニバースオリジナルブランド「Commonuse」デザインも手掛ける。

「コモンユースは多くの人の日常に溶け込み寄り添っていく服」

2023SS COLLECTION image visual

―単刀直入に、「コモンユース」とはどんなブランドなのでしょう。

誰しも毎日着てしまうモノってあるじゃないですか。自然と手に取ってしまうもの。それって実は一番クリエイター冥利に尽きる。その要素をデザイン面でも、価格帯でも表現しているのが「コモンユース」というブランドですね。

―現在もやってらっしゃる自身のブランドとのアプローチの違いは?

「アタッチメント」というブランドは、わりとカスタマー全体のパイの小さいところ、つまりファッション好きのコア層にアプローチしている感があります。ただ、「コモンユース」はより多くの方に楽しんでいただけるブランド。となると、考え方も当然変わってきますよね。とはいえ、モノに付加価値をつける従来の僕の強みとうまくクロスオーバーさせていければとは思っています。

パターンやディテールワークに見る“普通じゃない”部分

―今回でいうと、どういったところにご自身のカラーは投影されているのでしょうか。

例えば、「アタッチメント」は無駄を削いでモノを作るというアプローチ。何故そうするかというと、着る人を際立たせたいからです。着ている人を引き立てる服という意識は「コモンユース」でも持っていて、普通のようで普通じゃない、そんなアイテムを作りたいとは思っています。

―“普通じゃない”部分、気になりますね!

例えば、このスリムシャツはあえて袖山を高くしました。一般的なシャツとは異なるアプローチです。何故やるかというと、着た時に余計なシワを出さないため。その方が知的かつスタイリッシュに見えるんですよね。

こちらの服もそう。通常、オーバーサイズの服はリラックス感といった恩恵を得ますが、余計な生地のあまりにだらしなさを感じる場合もある。ただ、裾を取ってしまうことでどこかスマートに見えます。僕らが作る服はそういうパターン的技法に加え、襟をやや詰まらせるなどの緻密な微調整のもとに成り立っています。そこへ、洗える、シワにならない、すぐ乾くといった付加価値をのせていく。僕自身もズボラな性格なので、そんな人でも手に取ってもらえる服に仕上がったのではないでしょうか。

難しくはないし、無難でもない服が今の大人にちょうどいい

―ブランドとしてどのような成長を目指していますか?

難しくない服というか、想像がつく服というか。そこへ、質を担保しながらちょっとした洗練を加えたアイテムを作っていきたい。周囲からの「なんかいいね」とか「それどこの?」という声は褒め言葉に近いと思っていて。そんなコミュニケーションが生まれるコレクションでありたいとは思いますね。

―今後の展望をお聞かせください。

今回はEC限定なので、実店舗でのリアルな生の声を聞いてみたいというのはあります。他ブランドとのコラボもできたらいいですね。従来のブランドとはまた違う立ち位置だと思うので、その特性を活かしながらもっと面白いアプローチを試みたい。それでみなさんの心が満たされればが嬉しいですね。

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